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モーガン視点

私は声を上げて笑った。「違うわ。私の家に行くチャンスがなかったこと、すっかり忘れてたのよ」

正直なところ、私自身も行きたくなかったというのもあるけれど。

「真珠の宮殿は――」

私は勢いよく彼の方を振り向いた。「真珠の宮殿になんて、一度も住んだことないわよ」

『真珠の宮殿』という名は、建物の床一面に真珠のような加工が施されていることに由来する。それは首都に位置し、ある貴族一族の邸宅となっていた。我が家の記録をどれだけ遡っても、常にそう記されている場所だ。

「そもそも、首都に足を踏み入れたことさえないもの」私は言った。「ただ……その宮殿の話は聞いたことがあるわ」

「何者か...

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