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モーガン

彼は私を抱き上げると、空へと足を踏み出した。森の上空を飛び、屋敷へと続く道をなぞるように進んでいくと、人々が息を呑む気配がした。彼が不満げに何かぶつぶつ言っているので、私は思わず小さく笑ってしまった。

「本当にせっかちなんだから」

「必要な時は我慢強くもなれるさ」彼はそう言って私を見下ろした。「だが、馬車に揺られるのはその『時』じゃない」

私は首を横に振り、前方を指差した。木々の間から龍山家の屋敷が見え始めていた。彼はそれを見て低く唸ったが、私には何が不満なのかよくわからなかった。屋敷でいろいろなことがあったけれど、私にとってそこは家であり、美しい場所だった。屋敷は人里離れた...

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