153

ハヤト

扉を開けると、彼女は頭を後ろに反らして笑っていた。衛兵に声をかけようとした矢先、ジュンがこちらへ向かってくるのが目に入った。

俺は思わず笑みをこぼした。俺の私室は食堂への通り道にはない。彼女は俺に会いたかったのか、あるいは朝食へ一緒に行きたかったのだろう。相変わらず優雅だが、その立ち居振る舞いには以前にはなかった微かな自信が感じられた。俺たちが廊下に出ると、彼女は足を止めた。彼女の視線が、俺とハルカの堅く繋がれた手に落ち――そしてすぐに目を伏せた。

「あ……」

「ハヤトだ」俺はそう言って彼女に歩み寄り、空いている方の手で彼女の手を取った。「おはよう、ジュン。朝食か?」

彼女は頬...

ログインして続きを読む