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ハヤト

その名を聞くのはあまりに久しく、彼の姿を見るのも久しぶりすぎて、危うく誰だかわからないところだった。彼は少し年老いていたが、天界で暮らす人間にしては、私が予想していたほどの変化ではなかった。

彼女は視線を逸らすことなく頷いた。「家族の中で最後に会ったのが彼だったの。私はてっきり……」彼女は言葉を濁し、その瞳は涙で潤んでいた。「もう二度と戻って来られないと思っていたわ。まさか……」

ダイチはくすりと笑った。顔に刻まれた歳月は明らかだったが、ハルカへの明らかな親愛の情がその表情を和らげていた。「長い旅路でございました、陛下。実は運が良かったのです。『ヴェール』が上がった時、私はこちら...

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