CH17

モーガン

彼にぐっと引かれる力に抗えず体が前のめりになると、全身にアドレナリンがほとばしった。私はとっさにローブの中に手を伸ばして剣を抜き放ち、間髪入れずに彼の手首めがけて斬りつけた。

彼は私を離したものの、続く二撃目を完全にかわしきるほどの速さはなかった。胸元に深紅の染みが花開くと、彼の唇から驚愕の呻き声が漏れた。私は彼から視線を外さずに後退し、いつでも撃てるよう剣を構え直した。

彼はよろめきながら、胸を片手で押さえた。その顔は苦痛と激怒がないまぜになって歪んでいる。

「き、貴様……たかが人間の分際で!」彼は吠えた。「竜の王子に刃を向ける気か?」

「女王に刃向かうとは何事よ」激しく...

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