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ツネオ

彼は何も言わなかったが、その必要はなかった。漂う力と闇の気配は、ここではより強く、より濃密だった。まるで、この亀裂を生み出した闇の力の心臓部へと滑り落ちてしまったかのように。彼の抱く不安が、俺の口の中に苦い味となって広がる。俺はモーガンに視線をやった。彼女は予想していたよりも落ち着いているようだ。

タロフはここで何を経験し、ピュラは今それを知っているのだろうか?

「この場所……」彼女が呟くと、その声が反響した。「なんだか……嫌な感じね」

タロフが身をすくませ、俺たちの体の制御からわずかに退いたのがわかった。

俺は周囲を見回した。石壁には、ギザギザとした象徴やルーン文字が深く刻...

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