178

ツネオ

彼女の声が聞こえ、その気配を感じた。だが、振り返った瞬間、恐怖が鋭く、激しく俺を襲った。手には、誰かの心臓を胸から抉り出したかのように、光を放つ血のような液体が付着しているのが見えた。俺は――

「来るな!」

彼女はよろめきながら部屋に入ってきた。一瞬だけ俺を見つめると、剣を取り落とし、構わず近づいてくる。俺は後ずさり、彼女を遠ざけようとした。だが彼女は、タロフの悲嘆という名の瘴気を突き抜けて進んでくる。

モーガンは俺のそばまでよろめき歩き、荒い息を吐きながら、その目で俺を射抜くように見つめていた。彼女は俺の横に膝をつき、手を伸ばす。俺は身をすくませて避けた。脳裏にパイラの血まみれの...

ログインして続きを読む