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完全な闇の中で目が覚めた。まるで虚無が宮殿を支配してしまったかのようだったが、虚無特有の、あの身を切るような感覚の欠落はそこにはなかった。代わりに、隣にはモルガンの温もりがあり、闇の中でさえ彼女の顔が見て取れた。何かが動く音が聞こえ、星明かりの蔦が羽目板を走り、部屋の壁が生き生きと脈打ち始めた。

(あれは何だ?)

『協定』の始まりだ、とタロフが言った。我がパイラの宮殿は、彼女が創造した領域、彼女の領分と調和しておるのだ。天界もその一つだ。

俺は上体を起こし、窓の外を見た。王都もまた、同じ柔らかな光で明滅し始めていた。

(そして彼女の光は……この深い闇を貫ける唯一の光、というわけか)俺は...

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