CH23

【ツネオ視点】

報告書は乱雑極まりないものだったが、役には立った。使用人たちが何を噂し、具体的に何を話しているかを知ることは有益だったが、そんなことはどうでもよかった。俺の意識は、今まさに晩餐の席で何が起きているかという一点に集中していた。

時間からすれば、間違いなく『虚和の杯の儀』が始まっている頃だ。父上は彼女にどんな問いを投げかけているのだろうか。父上は昔から奇妙なユーモアのセンスを持っていたが、未来の嫁となる彼女にどんな質問をし、どんな議論を戦わせるかを想像して、明らかに楽しげだった。宮殿との繋がりを使って盗み聞きするだけの体力が自分にあればと切に願ったが、俺が目覚めたと知れば、父上...

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