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ツネオ視点

その場を離れることに躊躇いを覚えたが、俺は頷くと背を向け、自らの部隊と共に前線へと向かった。通路が開くのを待つために。

最後の数時間は痛ましいほどゆっくりと過ぎ去ったが、迫りくる混沌の気配は鋭さを増すばかりだった。骨の髄まで、吸い込む空気そのものに感じ取れた――冥界が迫っている。もうすぐ突き破ってくるのだ。

俺は風に鼻を向け、天界と冥界の間にゆっくりと広がる亀裂から滲み出し始めたエネルギーの匂いを嗅ぎ取った。竜の軍勢の緊張が高まっていくのを感じる。それは嵐のように大気中でパチパチと音を立て、今にも弾けそうだった。父上とモーガンがいる場所を振り返る勇気はなかった。

気が散って...

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