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モーガン

「皇太子はどこだ、薄汚い虎め!」

宴会場に足を踏み入れた瞬間、男の声に含まれた悪意に私は顔をしかめた。周囲は喧騒に包まれていた。天族たちが互いに睨み合い、非難と怒りの声が不協和音となって渦巻いている。

私はハルカとハヤトのもとへ向かった。ハヤトの表情は仮面のように穏やかだったが、二人から張り詰めた空気が漂っているのが感じ取れた。どうやら時間切れのようだ。

「静粛に!」

ハルカの声が混沌とした場に響き渡り、群衆は一瞬だけ静まり返った。だが、沸騰寸前の緊張を抑え込むには不十分だった。

「最後にユウマと一緒にいるところを目撃されているんだ!」龍の戦士が怒鳴り声を上げ、鉤爪...

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