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モーガン

刃が刹那、触れ合った。すれ違いざま、互いの剣がかする程度の接触。私たちは即座に身を翻し、対峙する。彼は飛びかかってきたが、想定内だ。私はその一撃をかわし、煌めく刃をかいくぐって反撃に出る。狭い廊下に、鋼と鋼がぶつかり合う音が響き渡った。

エリオの戦い方は、失うものなど何もない男のそれだった。荒々しく、凶暴だ。だが、私にはわかっていた。彼には失うべきものがある。何よりもまず、そのプライドを。

「あなたに勝ち目はないわ」

疲労はあったが、私の声は揺るがなかった。

エリオは唸り声を上げ、自暴自棄な衝動に突き動かされるように前へ出た。

「たかが小娘が。俺を倒せるわけがないだろう!」

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