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ツネオ視点

彼が顔を赤らめ、顔をしかめるのを見て、俺は思わず笑ってしまった。「つまり、その――」

「そういう意味じゃない。ただ、親父より俺のほうが手を汚す覚悟があるってだけだ」俺はため息をついた。「追放なんて真似ができる権力には、あの『黄金の龍』には到底持ち合わせちゃいない非情さが必要だからな」

「ああ……だから兄さんは、飛び抜けて恐ろしいんだよ」

「俺がお前を怖がらせるような理由を作るなよ」

サノは身をすくませた。「僕、剣の握り方さえ知らないんだ」

「知ってるさ」俺は肩をすくめ、彼に視線をやった。「だからといって、ケイジのやり残したことを引き継ぐつもりがないとは限らないだろう? ...

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