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ツネオ

宴会場は空元気のような活気に包まれていたが、俺はそのどれにも集中できなかった。視線は絶えず入り口の方へ彷徨い、モルガンが戻ってくるのを待っていた。彼女がいなくなってから随分経つ。ただの化粧室休憩にしては長すぎる。あるいは、俺たちの部屋まで戻ってしまったのだろうか。

それは単なる俺の勘違いか、あるいは彼女がそばにいないことによる不安のせいかもしれない。

彼女がここにいないというだけで、奇妙なほど落ち着かないのだ。

「落ち着け」

俺は瞬きをした。驚きと、少しばかりの恐怖を感じながら。目の前の席にタロフがふんぞり返っていたからだ。まるでサノと姉上の間に椅子を引き寄せて座ったかのように...

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