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彼は首を横に振った。「俺のパイラ……彼女の温もり……その光……。彼女が光を失った時など、一度もなかった。温もりもだ。彼女は知らないんだ、喪失というのがどういう意味を持つのか――」

彼は言葉を切った。唇を真一文字に引き結ぶ。身を引こうとする彼の手を、私は自分の頬に押し当てた。

「私は知ってる」彼は私の顔を覗き込んだ。「そして私を通して、彼女も知っているわ」

私は手を伸ばし、彼の顔を包み込んだ。彼はまぶたを堅く閉じ、すがるように私の手に顔を押し付けてくる。細く黒い筋――涙だ、と私は気づいた――が彼の瞳からこぼれ落ち、星明かりを弾いてきらめいた。

彼は身震いするような息を吸い込み、かぶりを振っ...

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