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モーガン

パイラが私に向かって飛んでくるのが見えたかと思うと、次の瞬間、辺りは完全な闇に包まれた。私は暗闇の中で何かに激突し、激しく容赦なく吹き荒れる暴風の中、それに強くしがみついた。それが魔法によるものなのか、本物の風なのかは分からない。風は刃のように鋭く、突き刺さるような不自然な冷気を帯びて唸りを上げていた。空気そのものが氷と化し、私の肌を切り裂き、火よりも深く身を焦がす。やがて、風が止んだ。闇が晴れ、再びパイラの姿が見えると同時に、私はよろよろと立ち上がろうとした。

「こっちよ! モーガン!」

息が詰まり、足がもつれてよろめく。手足は寒さで強張っていた。その時、津波のような闇と風の...

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