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ツネオ

俺が手を握り込むと、奴はビクリと体を震わせ、俺の手首を掴んだ。奴の胸の中で、心臓が冷たく巨大な大理石のように凝固していく感触が伝わってくる。奴は首を振り、喉の奥から獣のような呻き声を漏らして身をよじった。俺は眉一つ動かさず、ただ奴の瞳が恐怖に染まっていく様を見つめていた。奴は視線を上げ、微笑む俺を見た。

「パ、パイラなら……こんなことは……」

「ああ、しないだろうな」

「なら……」

「彼女がそんなことをする必要は、永遠にないからだ」

ユウマが痙攣した。恐怖で目が見開かれる。俺の手元を見下ろした奴の目前で、俺はその胸から心臓を引き抜いた。奴の血は輝きを放ち、鉄と、そして山の風の匂い...

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