CH28

ツネオ

激痛。

灼熱の業火が肩で脈打ち、野火のように血管を駆け巡る。爪だ。まるで剃刀のように鋭い鉤爪が肉を裂き、俺という存在そのものを引き裂いているような感覚。視界が滲み、豪華な自室の光景が痛みの渦へと変貌していく。

意識の霞の向こうから、頭の中で鳴り響く不協和音を突き破るように、遠くの声が届いた。

「ツネオ?」

女の声だ。聞き覚えがあるが、どこか歪んで聞こえる。喉は紙やすりのようにざらつき、乾いた舌の上で言葉が形を成さない。

『出て行け。俺から離れろ』

心の奥底で原始的な叫びが木霊したが、唇は頑として閉ざされたままだった。体は野生の制御不能なエネルギーに震え、強張る。俺は見えざ...

ログインして続きを読む