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リュウ視点

俺は奥歯を噛み締め、顔を背けて後退した。影と純粋なエネルギーの流れに身を任せ、玄関ホールから死角となる奥の隅へと、漂うように移動する。

このペントハウスに招かれざる客が立ち入ることなどあり得ない。俺のセキュリティは鉄壁だ。万が一誰かが突破したとしても、ユウスケから警備報告の連絡が先に入っているはずだ。俺の指が銃把(グリップ)に絡みつき、音もなく滑らかに引き抜く。入り口の方へ向き直った時には、すでに安全装置は解除されていた。全身の筋肉がバネのように張り詰め、本能がカミソリのように鋭く研ぎ澄まされる。侵入者は気配を隠そうともしていない。生意気か、それとも単なる馬鹿なのか。

ヒール...

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