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リュウ視点

冷静にならなければ。彼女に今日という日を台無しにさせるわけにはいかない。タカが悲しむことになる。

「私たちの結婚生活がどうなるか、まさか――」

「残り二分だ」

彼女は足を踏み鳴らした。「ちゃんと話し合うのよ、リュウ!」

俺は冷蔵庫に向かい、朝食にと考えていたものを取り出した。薄切りのステーキの小山、スープ、ライス、それからシェフが用意しておいてくれた野菜の盛り合わせだ。彼女が背後から近づいてくる気配がした。振り返って睨みつけたが、彼女はただ微笑んでいるだけだった。

困惑させられる。その表情は妙にリアルで、あの夢を思い出させた。だが、モーガンがあの女性ではないことは分かってい...

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