299

リュウ

その考えに、俺は思わず笑ってしまった。「俺たちが店に来なくなったら、サクラさんがどれだけ悲しむか考えてみろよ」

彼はため息をついた。俺は椅子の背にもたれかかり、床を鳴らすヒールの音に耳を傾けた。そして、まるで我が物顔で入ってくる彼女を見上げた。

レンは俺を、そして彼女たちを交互に見やり、少し眉をひそめた。

「お友達?」

彼女の声に微かな緊張を感じ取りながら、俺はゆっくりと息を吐いた。

「友達ってわけじゃない」

ボディガードたちの後ろでドアが閉まるのを見ながら、俺は手を握ったり開いたりして、なんとかリラックスしようと努めた。だが、モーガンの姿が目に入った瞬間、腹の底で何かがねじれ、燃え...

ログインして続きを読む