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リュウ

その事実に気づき、俺は苛立ちで奥歯を噛み締めた。

彼女はもう限界ギリギリだ。本人がそれに気づいていないとしても。

問題は、彼女のような人間が決して助けを求めないということだ。彼女たちは「助け」というものを信用していない。マカとのやり取りを見る限り、見返りを求めない親切など存在しないと学んできたのだろう。想像に難くない。

「タイガー」の連中は長らくドラゴン・クランの悩みの種だったし、「タートル」の連中も最近、俺の組織の評判を落とすような真似をしてくれている。サクラが彼女の身元を保証したのだ。俺はサクラを信頼している。動く理由はそれだけで十分だった。

いや、それだけではない。彼女を守...

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