CH304

レン

だが、俺は以前にも死線をさまよったことがある。それだけは分かっていた。

誰であれ、相手は俺の命を狙っている。ナラではないことは確実だし、リュウもマカをみすみす逃がすようなタマじゃない。となれば、モーガンの手下だろう。不運なことに、これは「本物のレン」から引き継いだ因縁ではなく、完全に俺自身が招いた種だった。

なぜそう言いきれるのか根拠はないが、確信はあった。走るにつれ、周囲の街の景色が滲んでいく。足が焼けつくように熱く、呼吸は荒い。振り返る余裕なんてない。車のエンジン音がまだ聞こえる。別の通りから回り込もうと唸りを上げ、路地とも呼べないような狭い道まで追ってくるのだ。

駅が近づいて...

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