CH32

モーガン

見えない襲撃者に爪を立て、必死に空気を求め喘ぐ中、恐怖が全身を駆け巡った。

「な……」

喉から絞り出した声は、途中で押し潰された。手探りで剣を抜こうとしたが、喉に巻きついた腕がさらに強く食い込んでくる。革と金属のような匂いが鼻孔を満たした。その吐き気を催すような混合臭は、私を支配する恐怖を少しも和らげてはくれなかった。

視界が霞み始める前に逃れようと、渾身の力で後ろへ肘鉄を食らわせる。だが、剣を抜くには角度が悪すぎる。頭突きも見舞ったが、襲撃者は難なくそれを避けた。

私は拘束するその腕を爪で掻きむしった。男はさらに力を込め、視界の端から世界が滲み出し、闇が私を飲み込もうと迫り来る...

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