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リュウ

手の中に、その感覚が確かにあった。夜の闇が蠢き、形を成そうと渇望している。だが俺は拳を握りしめてそれを押し殺し、レンの様子を目に焼き付けた。

彼女は地面にうずくまり、震え、血を流していた。裸同然だったが、テーブルクロスらしきボロボロの布切れで必死に身を隠そうとしている。血が彼女を濡らし、肌の白さを際立たせていた。その白さが、腕や脚に浮かび上がるあざと、肩からゆっくりと流れる傷口の赤を強調している。俺が流させた血と、おそらく彼女自身の血が混ざり合い、クロスを赤く染めていた。地獄絵図よりも酷い光景だ。彼女は震えながら目を閉じ、布を体に引き寄せた。

指先がピクリと痙攣した。怒りが急速に...

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