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レン

天界と人界を隔てる帳(とばり)の揺らめく光が、シュワシュワと音を立てて消え失せた。

途端に、天界のエネルギーが再び歌い出すのを感じた。その力はゆっくりと、だが確実に強まっていく。

床の中央では龍山家の旗印が広げられた。私は、一体誰が新たな家臣となるのかと思いを馳せた。私にはもう、誰もいないのだから。

リュウが私の手を取り、その唇へと運ぶ。

「ただいま」彼は言った。「俺たちの王国の様子を見に行こうか?」

私は頷き、二人で正面扉へと歩き出した。外の空気は、前の人生以来感じたことのないほど、電気を帯びて生き生きとしていた。リュウが何も言わずに私を抱き上げるまで、どこへ向かうのか分からなか...

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