CH36

ツネオ

「王妃様だ!」

「ツネオ皇太子殿下がお目覚めになられたぞ!」

血にまみれた私の姿など、誰も気にしていないようだった。私が目覚めたこと、そしてモーガンが戻ってきたことへの喜びに、皆の心は奪われていたのだ。その時、群衆の後方から、ためらいがちな歓声が一つ上がった。それにまた一人、さらに一人と続き、やがて中庭は歓喜の喧騒に包まれた。安堵。信じがたいという思い。そして、少なからぬ畏敬の念が、集まった人々の間に波のように広がっていく。

私の唇の端に、微かな笑みが浮かんだ。目覚めを知らせる形としては予想外だったが、これでも悪くはないだろう。だが、前途は多難だ。ケイジと彼を支持していた長老たち...

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