CH44

モーガン

アリの虚勢は一瞬揺らいだようで、その視線は私とツネオの間を目まぐるしく行き来した。やがて彼女は反抗的に頭を振り上げ、こう吐き捨てた。

「人間の簒奪者なんかに、謝るもんですか」

部屋中が息を呑む音が響いた。これまで単なる傍観者でしかなかった側室たちが、目を丸くして顔を見合わせる。アリの言葉の重みが、ずしりと空気に沈殿していく。簒奪者だって?

「その女は、本来ならあなたの正当な花嫁になるはずだった人の座を盗んだのよ! 正当な王妃の座を!」

なんて図太い神経だ。怒りが私の中を駆け巡る。熱く、そして強烈に。彼女が私がここにいることをどう思おうと知ったことではない。彼女は愚かだし、自分...

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