CH51

モーガン

ツネオは驚いた顔をした。

「どうした?」

「君の……人間の家族は確か――」

私はくすりと笑った。彼は鼻にしわを寄せる。

「変な言い回しだったか?」

「少しね」私は彼に微笑みかけた。「でも、ちょっと可愛らしいかも……」

彼の笑みが温かいものに変わり、瞳が輝いた。私は視線を逸らす。

「それで、話の続きは?」

「君の家族は……共同浴場の文化がある地域の出身だっただろう?」

「父方の家族はね」私は頷いた。「でも、共同浴場に行く機会なんてなかったわ。時間もなかったし、いつものけ者にされていたから」

そのことを思い出し、私の唇が引きつる。

「故郷にある『ジャキの湯』はこの大陸側で一番だって言わ...

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