CH8

モーガン

アエルは護衛のように車道側を歩いた。やがて、町の外れにある一見普通の家に着いた。中に入ると、そこは黒い石造りで、まるで宮殿のレプリカのようだった。

「素敵ね」

彼は私の濡れた服を受け取ると申し出、清潔で乾いた着替えを用意してくれた。入浴して着替えた後、私は彼について巻物で埋め尽くされた広い部屋に入った。漂う香りが、宮殿を思い出させた。

「一刻も早くお家に戻り、ご家族の事情に対処されたいとお考えなのは重々承知しております。ですが、ご無事であることを知らせるためだけでも、一度宮殿にお戻りいただけないでしょうか? 貴女様の……脱出劇は、かなりの騒ぎになっておりますので」

私は眉をひそ...

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