CH86

【ハヤト視点】

ベールが下りる前、妻が宮殿で殺害され、ツネオが昏睡状態に陥るそのずっと前から、私は何世紀にもわたって王の座にあった。そしてその長い年月の間、私は一度として黒龍に出会ったことがなかった。その真の姿というものを、完全に理解したこともなかったのだ。今、この時までは。

長老たちは、ここぞとばかりに騒ぎ立てるだろう。彼は一人ならず二人の兄弟を殺したのだ。妻を脅かされたという理由で、わずか数ヶ月の間に。私は、ツネオが意識を失い、その体が制御不能に痙攣するのを見つめていた。衛兵たちは驚愕の表情で私を見ていた。無理もないことだ。彼らのほとんどは若すぎて、かつて私が最前線に立ち、先代の竜王と...

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