CH96

アリ

唸り声を上げ、ゆっくりと頭を持ち上げた。目が回る。暗闇の中で何日も過ごしたせいで感覚が鈍っていたが、彼の声ははっきりと聞こえた。

「地下牢の楽しみはいかがだったかな、泥棒さん?」

私は歯をむき出しにして顔を上げた。「あんた……」

言葉が途切れた。私を見下ろしている男の姿に息を呑む。顔はツネオのものだ。だが、その表情には私の知るツネオの面影など微塵もなかった。

私は凍りついた。彼の黒オパールのような瞳の奥には、以前には決して存在しなかった闇が宿っている。空気が冷たい。心臓が早鐘を打ち始めた。

やがて、彼はくるりと背を向けた。「全員揃っているなら、始めよう」

そこで私は周囲を見...

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