第140章 終末世界(血の気が引く )

数匹の変異オオカミ犬が柏木美鈴によって地面に倒され、あたりは血痕だらけだった。

「先に行こう。さもないと血の匂いで他の変異動物を引き寄せちゃう」香椎静が慌てて言った。

これらの変異野犬は鼻が非常に敏感なのだ。

渡辺千咲も彼女たちのピックアップトラックに乗り込んだ。だが、ドアを開けると、後部座席に二人の少年が座っており、その中には生後数ヶ月の痩せこけた赤ん坊もいた。

香椎静は車を急発進させてその場を離れた。柏木美鈴が後ろを見ると、数匹の変異動物が血の匂いを嗅ぎつけて追いかけてきており、地面の死体を舐めているのが見えた。

「赤ちゃん、お腹が空いたみたい。透子ちゃん、缶にまだ粉ミルクが残...

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