第156章 転送

小川凡と中島暁は、二人とも初めての転移だった。中島暁は何ともなく、すっかり適応している。

「ちょっと酔ったみたい。吐き気もする」小川凡は青白い顔で言った。

車酔いや飛行機酔いがあるように、小川凡の場合は空間酔いというわけだ。

次の瞬間、渡辺千咲が中島暁の隣に現れ、空間から梅酢ドリンクを取り出した。

「これを飲むと楽になるわ」

「ありがとう!」小川凡は途端に元気になった。ドリンクは水よりもずっと口当たりが良い。

気分が落ち着くと、ようやく自分たちが今いる場所が目に入ってきた。

「まさかここだったなんて!」小川凡は驚愕した。

地下には、少し前に彼らが狩った蟲の死骸がまだ残っていた...

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