第97章 意外のキス

斎藤啓一たちが食料を他人に分け与えるはずがない。自分たちで運ぶことを選ぶだろう。

L国の基地では、末端の者たちがカップ麺一個のために殴り合いの喧嘩をしていた。

死者が出るほどの騒ぎになることさえある。

三人は丸半日かけて運んだが、輸送機では一度に運びきれず、何回かに分ける必要があった。

斎藤啓一は結局、残ることにした。

「いいか、食料は半分残しておけ」斎藤啓一は低い声で言った。

彼らが食料を交換したのは任務のためだが、すべてを持ち帰るわけにはいかない。

「了解です!」岩崎北は応えた。彼らは食料の一部を蓄えておくのだ。

今や、人手を集めることができるのは食料だけだった。

斎藤...

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