第十一章

個室の中、雪原澪は今すぐ穴があったら入りたい気分だった。

桜羽雪音は酒瓶を片手に、もう一方の手で海凪波臣監督の首に抱きつき、意識はすでに混濁している。

「ほらぁ、花散椿、飲みなさいよ。あんたザルなんでしょ?」

「あんたなんて小物が、私と張り合おうなんて百年早いのよ。ここまで追っかけてくるなんて、厚顔無恥もいいとこね!」

「今日の主役は絶対私が取るんだから! 文句があるなら飲みなさい!」

雪原澪は見ていられず、慌てて桜羽雪音を引き剥がそうとする。

本来なら今日は、桜羽雪音が単独で海凪監督と面会し、映画の主演女優の座をほぼ内定させるはずの手はずだった。

ところが、どこから情報を嗅ぎ...

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