第十六章

空見灯は颯爽と踵を返し、怒り心頭の唐沢琉璃をその場に残して立ち去った。

灯は金に困っていた。それも、喉から手が出るほどに。

だが、唐沢琉璃の金だけは死んでも受け取れない!

唐沢琉璃が初めて篠原流輝に会った時のことだ。「この男は私が貰う」と言い放ち、灯に二万円の小切手を投げつけたのだ。

灯は自嘲気味に笑った。今の私の価値は一千万円。随分と値上がりしたものだ。

ふと、婚前契約書のことが脳裏をよぎる。桐谷憂もまた、金で彼女の価値を測った。灯は鼻の奥がツンとするのをこらえ、強く息を吸い込んだ。

彼らは私の両親と何が違うというのか? ただ、私により高い値段をつけたというだけではないか。

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