第十七章

お爺様の機嫌も顔色も随分と良くなったのを見計らい、桐谷憂は慌ただしく空見灯を連れて屋敷を後にした。

これ以上長居させれば、遺言状に彼女の名前を書き加えられかねない勢いだったからだ。

去り際、空見灯は執事に念を押すことも忘れなかった。「お野菜は必ず、それも有機野菜を選んでくださいね。調理法も工夫して、海鮮類は控えめに。あと、火加減にも注意を……」

クソ真面目に注意事項を並べ立てる彼女の背後で、桐谷憂はすでに苛立ちを募らせていた。

この女、いつまで芝居を続ける気だ? まさか本気で桐谷家の一員にでもなったつもりか?

数分後、ようやく空見灯と桐谷憂は車に乗り込んだ。

お爺様から渡されたク...

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