第20章

桜羽雪音からの追加要求がなかったことは、誰にとっても予想外だった。

スタッフも大喜びで、彼女の演技も悪くなかったため、夜はそのまま食事会が開かれることになった。

空見灯は薬を飲んでいたが、意識はまだ朦朧としている。

雪原澪がそれを見て、小声で提案した。

「灯さん、具合悪そうだし、先に帰ったほうがいいんじゃ……」

「彼女が帰ったら、誰が私の代わりに飲むの?」

桜羽雪音が不満げに歩み寄ってきた。

今日の扱いは主演女優以下だった。彼女は自分が軽んじられていると感じ、鬱屈としていたため、スタッフの態度が彼女に対して好転していることや、撮影が順調だったことになど気づきもしない。

「こう...

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