第二十三章

「私がホールの掃除を?」空見灯は戸惑いながら尋ねた。

桐谷憂が使用人にどう伝えたのかは知らないが、退勤後に屋敷に戻って掃除までさせられるとは、いささか酷ではないか。

藤田陽子は呆れたように目を剥いた。「当たり前でしょう? 仕事をしに来たのよ。若奥様気取りで来たわけじゃないでしょうね」

「言っておくけど、桐谷社長は潔癖症で、要求も厳しいわよ。今後、三階建て全ての掃除はあなたの担当だから。しっかり働きなさいよ、いい?」

言い捨てると、藤田は空見灯に口を挟む隙も与えず、さっさと立ち去ってしまった。

荷解きを終える頃には、別荘にはもう誰の気配もなかった。

「藤田さん、本当に行ってしまった...

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