第二十五章

「空見灯!」

空見灯の手がドアノブに触れた瞬間、桐谷憂がその名を呼んだ。

彼女は悔しさに唇を噛み締め、憤然とドアを押し開こうとしたが、桐谷憂はすでに大股で近づいてきていた。

「爺さんが病院へ搬送された。今すぐ行くぞ」

「はい!」

空見灯の表情が一瞬強張ったが、すぐさま彼の背中を追った。

桐谷大正の自室には以前から多くの医療機器が備え付けられていた。その彼が病院へ送られたということは、容態が急変したことを意味する。

エレベーターに乗り込むと、桐谷憂はふと視線を落とした。

空見灯は裸足のままで、ストッキングは伝線し、見るからに狼狽した姿だった。

空見灯自身も靴を履いていないこと...

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