第三十二章

空見灯は息を殺し、全神経を指先の金針へと注ぎ込んでいた。

通常の呪療師であれば、より硬度がありツボを捉えやすい銀針を用いるのが常識だ。

金針はあまりに柔らかく、わずかでも力加減を誤れば容易にたわんでしまい、狙った位置から逸れてしまう。それゆえ、好んでこれを使おうとする者は皆無に等しい。

だが、その柔軟さと繊細さがあって初めて、人体の急所とも言える危険な領域への刺入が可能となるのだ。それは、呪療師としての技量が極限まで試されることを意味していた。

灯はこの金針を使いこなすためだけに、来る日も来る日も、数え切れないほどの夜を修練に費やしてきた。そしてようやく、その要領を掴み取ったのだ。

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