第三十三章

桐谷憂が病室に戻ると、桐谷大正はすでに微睡んでいた。

「爺さん、まずは休んでくれ。医者も静養が必要だと言っていた」

桐谷憂が静かにそう告げると、桐谷大正は入り口の方へ視線を向けた。

「灯はどうした? さっき、わしに鍼を打ってくれたのはあの子だろう? あの子がわしを救ってくれたのか?」

「違う」桐谷憂は即座に否定した。「爺さんを救ったのは、呪療師の観月蒼だ」

「いや、灯だ。わしはこの目で見たんじゃ」

桐谷大正は頑なに首を振る。

確かに一瞬意識を取り戻したが、記憶が混濁しているのだろう。

桐谷憂は唇を引き結び、それ以上の反論を控えたが、胸の内の苛立ちは募るばかりだった。

空見灯...

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