第三十九章

そのたった一言で、篠原流輝は完全に押し黙った。

彼が一体何をしたというのか?

彼はただ、酒席に顔を出しただけだ。そもそも、この契約が取れるはずがないと高を括り、進捗を追うことすらしなかった。

これまで何度も空見灯に「五十嵐悠真と仕事がしたい」と語ってはいたが、そんな機会が巡ってくるはずもないと思っていたのだ。

ところがどういうわけか、ある日突然、五十嵐悠真が契約書を携えて彼の元を訪れた。

当時は彼自身も信じられない思いだったが、五十嵐悠真の熱心な態度を目の当たりにし、ついに自分の才覚が認められたのだと確信した。

曲が書けない? それがどうしたというのだ。

彼は経済学を修めており...

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