第四十三章

かつて観月蒼は言ったことがある。多くの人間は呪療師に対して偏見を持ち、あるいは畏怖さえ抱いている、と。

「人ってのはな、未知のものに恐怖するもんだ。それも、心の底からな」

「だが、その恐怖をうまく利用すれば、人助けなんて造作もないことさ」

「言うことを聞かない患者には、言うことを聞くように仕向ければいいだけのこと」

五十嵐澪は、まさに観月蒼の言う「聞き分けのない患者」だった。だから空見灯は少しばかり小細工を弄し、適当に筆を走らせて呪符のようなものを描いてみせたのだが――それだけで五十嵐澪は死ぬほど怯えてしまった。

彼女は呪療師を恐れている。同時に、その呪療師が腹の子に害をなすのでは...

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