第7章

レストランの空気が凍りついた。

周りの客たちはひそひそと囁き合い、こちらを指差しているが、私には何も聞こえないかのようだった。目の前で顔面蒼白になっている夫を、まるで面白い標本でも観察するかのように、私は静かに見つめていた。

「家で話そう」

慎太郎が、怯えたような目で私を見ながら小声で言った。

「いいえ、ここで話しましょう」

私は微笑みを崩さない。

「星奈さんがこれほど興奮なさっているのですから、きっとお話したいことがたくさんあるのでしょう。私も興味がありますわ。あなたたちが一体どういうご関係なのか」

渡辺星奈は私の冷静な表情を見て、自分が罠にはめられたのかもしれない...

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