第10章

 控室の外の廊下の突き当たりで、林原夢子は焦りながら時計を見て、朗報を待っていた。

 しかし彼女が待っていたのは、宇原雫の棄権の知らせではなく、冷たい手錠だった。

 古崎言舟が駆けつけた時、ちょうど警察が林原夢子のバッグから残りの薬瓶を押収するところだった。

「言舟兄さん! 助けて!」

 林原夢子は壁に押し付けられ、化粧が崩れて無惨な顔を晒していた。往年の可憐さは微塵もなく、ただ醜悪な形相だけが残っている。

「あなたのためなのよ! 宇原雫が潰れれば、あなたは破産しなくて済む! 矢原賢一だって彼女を捨てるはずよ!」

 古崎言舟はその場で凍りついた。声が震える。

「彼女を、殺すつも...

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