第4章

絵里

三日後、午後七時五十八分。寮の部屋にあるガタつく机に座っていた。ノートパソコンから放たれる青い光が、暗闇を切り裂いている。

時間ぴったりに、スマホが鳴った。

「準備はいいか?」ボイスチェンジャー越しのその声は、聞き覚えのある、謎の人物の落ち着いた声だった。

「私、何をすればいいのか……」声が震えていた。「こんなこと、一度も……」

「どんな天才にも『初めて』はあるものだ」その声には期待が滲んでいた。「送っておいたプログラムパッケージを開け」

受信トレイには暗号化されたファイルがあった。ダブルクリックで開くと、画面は即座にびっしりと並んだコードの羅列で埋め尽くされた。

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