第6章

絵里

午後十一時四十七分、コンピューター室。

蛍光灯が頭上で唸りを上げる中、私は一人、スクリーンの前に座っていた。

謎の人物からの指示が、イヤホンを通して聞こえてくる。「学術システムにアクセスして、和也の全記録を検索しろ」

「本当に、こんなことをしていいのかな……」一瞬、ためらいがよぎる。

「真実に、ためらいは不要だ」

データが画面を駆け巡る中、私の心臓は止まりかけた。

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