第7章
絵里
金曜の午後、学長室。
「黒木さん、おめでとう」山崎学長はそう言って、金色の証書を私に手渡した。「学園への全額奨学金だ、君の優秀な成績が勝ち取ったものだよ」
私はその証書を握りしめた。指がわずかに震えている。
「ありがとうございます」
学長室を出た瞬間、陽光が顔を射した。暖かくも、どこか複雑な光だった。私はやり遂げたのだ。誰かの施しや同情ではなく、私自身の実力で。
ついに、私は自分の価値を証明した。
一時間後、墓地。
母の墓石の前に膝まずき、その上にそっと証書を置いた。
「お母さん、私、やったよ」私の声は風に震えた。「あなたをがっかりさせなかったよ...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


縮小

拡大